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 リースバックに関する説明

リースバックとは読んで字の如く「賃貸」を「返してもらう」ということです。
競売申立、もしくは滞納等により競売の危機が到来してしまった所有者の方が、投資家・私募ファンド・SPC(特別目的会社)・TMK(特定目的会社)等に不動産を売却し、家賃を払う事により当該不動産を利用し続けるということです。 競売ってどういうこと
例えば、ビルオーナーの場合は、全部を売却し、オーナールームと事業用店舗部分をリースバックするなどの方法があります。

また、マンションの場合は過去の近隣家賃相場と比較して、従前の住宅ローン返済程度の金額でリースバックが可能であった事例などもございます。
戸建の場合は ※収益還元法を用いれない場合が多いためリースバックに適合が難しい場合もあります。
事業所や工場などは、ご自宅同様、生命線ともいえますので取引先や顧客の信用を失うことなく営業が可能となります。
事業再生・生活再建編
ただし、収益物件として一定の利回りが確保される事、建物の診断、生活・営業状況の勘案等 精査(デューデリジェンス)を行い一定の条件がクリアされる ことが条件となります。

※収益還元法:
従来、不動産売買においては、取引事例比較法が主に用いられて来ました。 収益還元法は、不動産の価格を、その物件を貸し出した場合に、どれくらいの利回りが得られるかを、主軸に査定するということになります。

リースバックで競売を回避する
競売入札になれば、よほど売れない物件でない以上、他人の手に渡ってしまいます。
「他の人の手」でも、競売入札前に信頼できる人の手(不動産ファンド・個人投資家など)に渡れば買い戻しや、家賃を支払いながら現在の家に住み続けることができる可能性があります。
不動産ファンド・不動産会社は営利目的会社であり「利回り=家賃収入」を求めます。相談者の置かれている状況により家賃の設定は変わりますが、基準は7%以上になります。

〜リースバック時の審査概要について〜
ここではNPO相談員と不動産ファンド・不動産会社側がどういう審査をするのか
(何を知りたいのか)を簡単に説明します。下記に挙げるのは一例に過ぎず、審査時
にはさらに細分化された項目に基づき審査・調査されます。

1. 相談者について
・健康状態 
・家族の状況
・反社会的勢力に属していないか

2. リースバックの妥当性
・残債務や債権者など全体の計画の妥当性
・法的リスクの確認
・リースバック期限と賃料設定による採算の確認

3. 不動産について
・不動産自体の法的リスクの確認
・評価額
・不動産の種類(収益型など)

4. 買い戻しについて
・買い戻し時の原資
・収入状況
・他債務の確認

5.リースバック打ち切りについて
・打ち切りの条件
・不動産処分方法と時期
・退去時の引っ越し費用
・紛争時の解決方法

〜リースバック実例〜
東京都足立区 築10年 新築で3,200万円購入

〜経緯〜
今まで、住宅ローン返済が厳しい時は消費者金融で借りてローン返済に充てていたが、今では借りられずに滞納を始めた。6ヶ月後に競売にかかってしまい、NPOへ相談。仕事も持っているため家賃と他債務の支払い継続可能と判断し不動産ファンドがリースバックを決めた。

■債権者:住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)
■買い取り前残債務:1,700万円
■不動産ファンド買い取り額:1,300万円
■買い取り前のローン返済月額:15万円
■買い取り後の賃料月額:10万円

〜検証〜 生活状況と他債務の状況を確認し、不動産ファンド側の採算性と相談者側の家賃負担額の妥当性を考慮して家賃を設定した。約1年〜1年半後に親族が買い戻す予定である。
住宅ローン残債務の支払いについては月額10,000円の支払いを続けているが、他債務の整理が上手くいかずに自己破産も検討している。
今現在は債権回収会社(サービサー)に債権が譲渡されているため、当NPO法人の協力会社であるサービサーに債権買い取りの協力を依頼して自己破産を防ぐために尽力している。

〜相談者の声〜
今の場所に生活の基盤を持ってしまい、親族も友人も近くにいるため引っ越しはしたくなかった。中学生と小学生の子供がいるため引っ越し時には転校を余儀なくされていたはず。
チャンスをもらったものだと思い、しっかりと家賃を払いながら生活を立て直して親族での買い戻しを目指して協力したい。